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「ムーミン展 THE ART AND THE STORY」紹介 -第3回- 世界で唯一の「美術館」

展覧会 2019.07.18

「ムーミン展 THE ART AND THE STORY」では、フィンランドを代表する芸術家トーべ・ヤンソン(1914~2001年)が生み出した「ムーミン」シリーズの多彩なアートと奥深い物語の魅力を約500点の展示品で紹介しています。そのうち約150点は、フィンランド内陸部に位置する人口およそ23万人のタンペレ市にある世界で唯一の「ムーミン美術館」が所蔵する約2,000点の中から選りすぐりの作品を並べています。
1986年、トーベ・ヤンソンはムーミンをテーマにした本の原画や絵画をタンペレ市と同市立美術館に寄贈することで世界でもユニークなコレクションとなりました。これらのコレクションは、87年から2012年まで同市立図書館内のムーミン谷博物館で展示された後、同市立美術館に移され、13年から16年まで常設展示されていました。
そして17年6月、北欧最大の会議・文化施設のタンペレホールに設けられた専用スペースに、ムーミン美術館として新たにオープンしました。その名は広く世界に知られ、19年のヨーロッパのベスト美術館を選ぶ審査の候補にも挙げられました。
ムーミン美術館は「日常の慌ただしさから離れ、心安らぐ美術館を」と願ったトーベの構想に沿うように造られました。館内にいると時間や場所の感覚を忘れ、まるでおとぎの国にいるような、五感に訴える展示スペースとなっており、友情と寛容の精神と家族の大切さを伝えるムーミンの物語のメッセージを、強く感じ取ることができる場所です。
 今回は「小さなトロールと大きな洪水」や「ムーミン谷の彗星」、「たのしいムーミン一家」など9冊の小説の原画やスケッチの他、スウェーデン語系の風刺雑誌「GARM」に載った挿絵などが出展されています。貴重な原画やスケッチの数々を、会場で鑑賞いただけますと幸いです。

▽ムーミン展は9月1日まで。料金は一般1,400円(前売り1,200円)、大学・高校生1,000円(同800円)、小中学生700円(同500円)。

大分県立美術館 主幹学芸員 宇都宮壽

大分合同新聞 令和元年7月6日朝刊掲載