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アート&デザインの大茶会 その4 拡張し続ける創造エンジン

展覧会 2018.05.02

ミヤケマイ 《SHISEIDO THE STORE ウィンドウ》 2018年 写真:繁田諭

ミヤケマイ 《SHISEIDO THE STORE ウィンドウ》 2018年 写真:繁田諭

27の協力者
 
この数字は、今回のミヤケマイさんの作品の制作に協力をしている団体や個人の方々の数です。
そこには、[空]と[実]をつなぐ技術で社会に貢献することを理念に、ソニーコンピュータサイエンス研究所のメンバーが中心となり、2007年に設立されたIT企業、クウジット株式会社や最先端の映像技術を駆使し、コンテンツ制作やイベント・展示会などの企画から施工、運営など、プロモーションやブランディングを総合的に手がけているソニーのグループ企業、ソニーPCL株式会社、マーケティングやプロモーションサポート、商空間デザイン、販促イベントの企画・設計・運営、各種空間演出の制作支援、コンテンツ企画、演出制作などを手がけ、国内で唯一のライセンスを保持する特殊フィルムを採用したステージシステムによる演出技術により、特殊3Dグラスをかけることなく、裸眼で立体的な体験を生むホログラフィックビジョンを可能にする国内唯一のエンターテイメント技術、Eyeliner®も提供する、株式会社スピン/studioTED、筑波大学 学長補佐 兼 同大学デジタルネイチャー推進戦略研究基盤 基盤長/准教授で「現代の魔術師」とも呼ばれる落合陽一さんが代表を務める、Pixie Dust Technologies, Inc.、受け継がれてきた建物を、次の代も、その次の代にも引き継ぐために、主に店舗のためのコンサルティングと施工を行われている、熊本市のサンワ工務店、1863(文久3)年創業の奈良市にある、良質の高級麻織物「奈良晒」の織元、株式会社岡井麻布商店、工場やビル、医療、福祉施設など様々な施設の電気や通信の工事、インターネットなどのネットワークの構築やコンテンツの運用などのサービスを提供する地元大分の鬼塚電気工事株式会社、着物に似合う伝統的な和傘から洋装にも合うモダンな和傘まで手がける、和傘工房「朱夏」、伝統的な竹籠からモダンな竹のブレスレッドまで幅広く竹のプロダクトを手がける竹藝家の諸冨京子さん、大分県宇佐市にある大分県立歴史博物館など、実に様々な企業や団体、個人の方々がおられ、それぞれに作品を完成させるために必要なインスタレーションの設計作業、ITや工芸などの様々な独自の技術や能力で展示を支えてくださっています。
 
私もミヤケさんと協力者の方々とのミーティングに出席することや協力者の方々と個別にお会いすることもありますが、みなさん、ミヤケさんのプランの実現に向けて知恵を絞り、労を惜しまず、取り組まれているように感じます。
ミヤケさんのアイデアやプランは、非常に斬新でユニークなものです。それだけに、それをいかにして実現させていくのかというのは決して容易なことではありません。いや、それ以上に、これまでに見たことも、聞いたことも、想像したことすらなかった、アイデアやプランを目にすることの方が多かったはずです。
そのハードルの高さや通常では考えたことすらなかった要望を前にした時、いつもの仕事のやり方という「常識」においては、ややもすると、即座に「こりゃあ無理だ、別のプランに切り替えましょうよ」と言ってしまいそうなところも、策を練り、情報を集め、伝手を辿りなど、考えられうる手を尽くして、何とか実現に向けて取り組む姿勢はミヤケさん本人の姿勢とシンクロします。
このようにみなさんが難題であるにも関わらず取り組まれるのは、ひとつにはミヤケマイという稀代のアーティストの創造力と創造に向かう姿勢への共感、さらには彼女の決してあきらめない姿勢に知らず識らずのうちに感化されるからなのではないかと思います。そしてもうひとつは、それぞれの協力者の方々ご自身が、新しい何かを生み出す喜びを感じるとともに、それを実現させる新たな自分と出会えることを楽しみにされているからではないでしょうか。
ミヤケさん、そして27の知と力が結集され、できあがった今回の展示。ぜひ、ご注目ください。
 
■作品の制作に協力されたみなさま

大久保文之

馬渡侑佑

諸冨京子

(大分県立美術館 宇都宮 壽)
 

アート&デザインの大茶会 マルセル・ワンダース、須藤玲子、ミヤケマイ
■会期: 6月15日(金)~7月22日(日)
■会場: 大分県立美術館 1階 展示室A
■料金: 一般 1,000(800)円 高大生 500(300)円