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教育普及グループ的な企画展の楽しみ方@古代アンデス文明展①

教育普及 2019.04.19

 ただいま開催中の「古代アンデス文明展」は入場者数が2万人を超える盛況ぶり。会期は5月6日(月)までとなっており、残りもあとわずかになってきた。まだ見ていない人は、ぜひ、ゴールデンウイークに来てほしいが、一度来た人も再度来てもらいたいので、今回は「教育普及グループ的な企画展の楽しみ方@古代アンデス文明展」と題し、展覧会について触れたい。

 今回の展示では、動物と注器、あるいは香炉を組み合わせた可愛らしい陶器が多数展示されている。これらの動物をモチーフとした注器や香炉を見るときは、ぜひ、目線を合わせてほしい。角度に気をつけて、しゃがんだり、背伸びをしたりしてちゃんと目線を合わせる。すると愛しくなること間違いなし。ところで絵画を見たとき、どこから見ても目が合う、そして動くと追いかけてくる視線に、驚いたことはないだろうか。例えばレオナルド・ダ・ヴィンチのモナ・リザがそうだが、全体的な雰囲気からも、怖く感じる人は少なくないだろう。東洋では「八方睨みの竜」もそうだ。やはりどこから見ても目が合う。しかし彫刻や立体作品は、目が合い続けることは少ないだろう。そこで正面から目を合わせた次は、思い切ってしゃがみこみ、見上げてみる。迫力あり、堂々とした動物たちは、人間の友達なのか、神様からの使者なのか。そんな視線で作品を見てほしい。

 モノを見て楽しむ。これが美術館に来た時の基本だ。だがモノによっては、なんとも吃驚する事実を知ることもある。今回の展示物の中、豹のような動物がじゃれて男性の肩に乗りかかっているモノがある。男性は片目をつむり「イテテテ、あんまり無茶するなよな、まったくもう~♡」という声が聞こえてきそう、、、と思っていたところ、キャプションを見たら、なんと生贄にされる男性を抑え込んでいるという。抑え込んでいるのは豹ではなく、オセロットというネコ科の動物というが、愛らしい目に思えてしまった。
 

 教育普及的展覧会の楽しみ方とは、自分の身体と感覚、つまり自分の視点でモノを視ることだ。そこでは主観がすべてを支配する。ぜひとも動物たちと目を合わせに来てほしい。中には胸飾りとケープをまとうシカもいる。擬人化したような動物たちも見逃せないだろう。その後、美学的、歴史的背景や専門知識を得たいのなら、学芸員による解説ツアーにも参加してほしい。自分が見たときと、解説とのギャップを楽しむつもりで参加するのもいいだろう。つづく。

 

 

大分県立美術館 教育普及グループ 主幹学芸員 榎本寿紀

黄金とミイラが伝える
古代アンデス文明展

会 期:2019年3月8日(金)~5月6日(月)
開館時間:10:00~19:00  ※金曜日・土曜日は20:00まで(入場は閉館の30分前まで)
休展日:なし
会 場:1階 展示室A

観覧料:当日券 (一般・大学生)1,500円/(高校生)1,000円/(小中学生)600円
    前売・団体 (一般・大学生)1,300円/(高校生)700円
    ※団体料金は20名以上
    ※大分県芸術文化友の会 びびKOTOBUKI無料(同伴者1名半額)、TAKASAGO無料、UME団体料金
    ※障がい者手帳等をご提示の方とその付添者(1名)は無料。
    ※学生の方は入場の際、学生証をご提示ください。
    ※各種割引は重複してご利用いただくことはできません。ご了承ください。

主催者:古代アンデス文明展大分展実行委員会、OBS大分放送
    公益財団法人大分県芸術文化スポーツ振興財団・大分県立美術館

お問合せ先:大分県立美術館  Tel:097-533-4500

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