2020.06.05
教材「Hands on Works/触ると触れる」から、『眼で触る』をテーマに、小川信治さんの作品を鑑賞しました。鉛筆とは思えない超絶技巧による作品の実物とその制作背景に迫る1時間。約3か月ぶりに再開した5月29日(金)の「夜のおとなの金曜講座」について紹介します。
小川信治さんは、「世界とは何か」をテーマに、見慣れた風景や名画などを変えてしまい、時間や空間の構造を考えながら、世界の可能性を表現しています。レオナルド・ダ・ヴィンチやフェルメールなどの名画から中心人物を消し去り、空いたところを想像力で描いちゃう<Without You>シリーズ、画面の中で有名な建築や人物を二重にして描く<Perfect World>シリーズがあります。<対称/非対称>をテーマとした作品では、対称となる二対の建物、その後ろには非対称の背景が広がるという不思議な風景をつくり、<Behind You>シリーズでは、中心が周辺に、周辺が中心になるように反転し、元の画面の背景が主役となって小川さんの想像力で描かれています。
そんな言葉の説明じゃあわからない!という人、実物を視られるのが一番いいんだけど、まずは小川さんをインターネットでチェックしてみてください。
さて、美術館で作品依頼をして描いていただいたのは、<Rondo>シリーズです。これは同じイメージの繰り返しにより作られた世界が描かれています。
この作品も「写真でしょ?」と思う人は多いのですが、角度を変えてみると、黒鉛がテカテカ光っているのを発見できます。よく視ると、同じ塔や建物が繰り返して描かれています。
小川さんには制作の時、その過程を写真に撮っていただいています。さらにこの講座のため、小川さんからは制作日記の画像もいただきました。順を追ってみると、その制作過程がわかります。
今回の制作では、小川さんに無茶なおねがいをしました。
それは作品の中に、大分県の風景を取り入れることは可能か?
このお願いを、快く引き受けてくれた小川さん。
大分の風景の写真を送り、検討していただきました。
こうしてできたのが、 《ロンド6》 2020年 です。
講座では、作品を順番で見るだけでなく、制作過程や日記の画像を見ました。
そしてアポなしで小川さんに電話。
参加者はドキドキ緊張しながら質問したり、感想をお話しました。
いつも無茶なお願い、すみません。そしてありがとうございます。
最後に、本当に描いているの?写真じゃないの?という人のために、
昨年の夏に行った、小川信治さんの公開制作の写真です!
手元をみると、『すげぇ!』でしょ?