2021.02.26
「びじゅチューン!×OPAM なりきり美術館」は、世界の美術を歌とアニメで紹介するNHK・Eテレの人気番組「びじゅチューン!」とのコラボレーションです。番組はアーティストの井上涼さんが作詞、作曲、アニメ、歌の全てを手掛けています。
大分県立美術館(OPAM)の1階エントランスを入ってすぐから、びじゅチューンの映像と県内各地の史跡や祭事などを紹介しています。
高さ約10mのアトリウムの壁面には、ほぼ原寸大の熊野磨崖仏(豊後高田市)が現れ、昨年3月に放送された磨崖仏を題材にしたアニメ「お互い擬態」の映像を流します。このアニメは井上さんが実際に磨崖仏を訪ねた際、「仏様が岩に擬態をしているみたいだな」と印象を受けたことで生まれました。
その他にも富貴寺や修正鬼会(しゅじょうおにえ)、ケベス祭、六郷満山の峯入りなど国東半島にまつわるものや、臼杵石仏(臼杵市)、御嶽神楽(豊後大野市)など県内の各地の史跡や祭りをパネルや映像、複製品などを使って紹介します。宇佐神宮(宇佐市)や熊野磨崖仏、真木大堂(豊後高田市)については、井上さんが現地で撮影した特別映像もあります。
3階展示室では、まず、葛飾北斎(1760~1849年)の「冨嶽(ふがく)三十六景・神奈川沖浪裏」を題材にした、びじゅチューン!作品「ザパーンドプーンLOVE」のコーナーがあります。高く舞い上がる大波が富士山に猛アピールして身をよじっている女性の姿に見えたことから作られました。
また、ジャンプする高さで波の大きさが変わる体感型のコンテンツも楽しめます。テーマの「波」に関連し、竹工芸の分野で重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された生野祥雲斎(大分市)の代表作「怒濤(どとう)」や、門田篁玉(もんでんこうぎょく)(広島県)の「波濤(はとう)」など、波をイメージした作品も並びます。
▽大分県立美術館(OPAM)の開館5周年記念事業「びじゅチューン!×OPAM なりきり美術館」は5月9日まで。入場料は一般300円、大学・高校生200円。中学生以下無料。
(大分県立美術館 主幹学芸員 宇都宮壽)
びじゅチューン!「お互い擬態」 | 熊野磨崖仏 大分県豊後高田市 平安時代末期 |
大分合同新聞 令和3年2月20日掲載