講師:沓名貴彦(国立科学博物館/材料工学・保存科学)×沓名弘美(絵画技法材料研究家・日本画家)
綿臙脂は、化粧品や絵の具、染料などに用いられた赤い色材です。古くは正倉院に記録が残り、古代から近代にかけて東アジアを中心に広く使われていましたが、明治以降は合成染料の普及で製造が途絶えてしまいました。この綿臙脂はどのように作られていたのでしょう。アジアの熱帯雨林に生息するラックカイガラムシを原料に、中国で作られていたという綿臙脂の歴史と文化、色彩とその再現について、「科学者の視点」「絵描きの視点」という二つの視点から迫ります。
【 要事前申込 】≪申込締切≫ 10月25日(月)
特別連続ワークショップ&レクチャー
「未知っち、見ちっち vol.Ⅱ Color & Science」
其の三:色を探る・色を考える~歴史・科学・実践から綿臙脂を視る
沓名貴彦/国立科学博物館 理工学研究部 科学技術史グループ
(兼)産業技術史資料情報センター 研究主幹
山梨県立博物館の学芸員を経て、2014年より現職へ。材料を中心とする科学技術史を専門に、人間が生み出した様々なモノを未来に伝えること、材料の誕生と発展が社会や歴史に及ぼした影響について研究している。今回は、失われた材料の復活を目指す中の一つとして、綿臙脂再現の研究を行っている話を伺うが、日本における非鉄金属生産技術の発展過程を科学技術史的視点から研究するため、中世大友府内町跡の出土品調査のため大分県へは多数来県している。
沓名弘美/絵画技法材料研究家・日本画家、沖縄県立芸術大学 非常勤講師
日本で日本画の古典技法と保存修復を、中国杭州市に留学し工筆の花鳥画を学ぶ。在学時より東洋絵画の古典的な色彩の再現に不可欠な「綿臙脂」の研究を続ける。中国、インド、ブータン等で文献調査、実地調査を行い、各材料を集め、試作を行う。論文「化粧品としての綿臙脂」、「臙脂の再現にむけて」を発表する。また、紅型の特徴的なピンク色の「花色地」の表現に臙脂が最も適することから、古紅型の復元製作等に臙脂の研究で協力した。
【問い合わせ先】
大分県立美術館 学芸企画課 教育普及室
tel:097-533-4502/mail:edu@opam.jp