大分県ゆかりの芸術家や学者たちの生涯と業績をひろく県民に紹介する「おおいた温故知新 ~大分の先人たちの知性と感性に学ぶ~」の第一弾として、日田市出身の洋画家 宇治山哲平(1910-1986)を取り上げます。
宇治山哲平は地元の工芸学校で漆芸や蒔絵の技法を身につけたあと、漆職人として仕事をするかたわら、はじめ木版画家として活躍します。
その後30歳前後から油彩画に転じ、50歳を迎える頃には日本的美感を捉えた独自の抽象スタイルを確立して高い評価を得ます。
また、現在の大分県立芸術文化短期大学では、開学当初から美術科教授として指導に当たり、数多くの後進の育成に尽力するなど、地元の芸術文化の振興にも大きく寄与しています。
今回は、長年にわたって描きためられた克明なデッサンに加えて、初期の木版画や愛用の画材、長く手元に置いていた古代の遺物など、ユニークな画業を影で支えた興味深い資料類を展示、紹介することで、抽象画家 宇治山哲平の人と芸術についての理解を深めてもらいたいです。