大分県北部に位置する城下町中津は、様々な分野で活躍した多くの偉人たちを輩出してきました。特に近代以降は、慶應義塾を創設した福澤諭吉(1835-1901)をはじめ、『学問のすゝめ』の共著者となった小幡篤次郎(1842-1905)、「慶應義塾仮憲法」制定後の初代塾長をつとめた濱野定四郎(1845-1909)、さらに「モラロジー(道徳科学)」の提唱者として知られる廣池千九郎(1866-1938)など、優れた教育者、歴史学者、法学者が次々と現れています。また、美術分野でも、明治初期の油彩画を学んだ後フランスに渡った諌山麗吉(1851-1906)や初期洋画の指導者としても活躍した吉田嘉三郎(1861-1894)ら、先進の気風を備えた人物たちが登場しました。
大分県ゆかりの芸術家や学者たちの生涯と業績を紹介する「おおいた温故知新 ~大分の先人たちの知性と感性に学ぶ~」の第三弾では、こうした近代中津の偉人たちの業績を紹介します。なかでも、廣池千九郎を特別に取り上げ、公益財団法人モラロジー研究所の協力のもと、廣池と親交のあった人物たちの資料も交えながら紹介します。