当館の開館時に寄贈された長谷川等伯《龍虎図屏風》(複製)と、普段公開する機会が少ない六曲一双の屏風絵を特別展示することにより、日本美術の伝統的な画面形式のひとつである屏風絵の魅力や大画面から発せられる迫力を広く紹介します。
特定非営利法人 京都文化協会とキヤノン株式会社が共同で取り組んでいる「綴プロジェクト」(正式名称:文化財未来継承プロジェクト)。
この綴プロジェクト第8期作品として当館に寄贈された、長谷川等伯《龍虎図屏風》(複製)と、普段公開する機会が少ない六曲一双の屏風絵を、夏休みに入った直後の期間に合わせて特別展示し、日本美術の伝統的な画面形式のひとつである屏風絵の魅力や、大画面から発せられる迫力を広く紹介します。
長谷川等伯 《龍虎図屏風》 安土桃山時代 ボストン美術館所蔵 | ※「綴プロジェクト」高精細複製品/第8期作品 |
《西湖・金山寺図屏風》 雲谷派 江戸時代中期頃 大分県立美術館所蔵 |
右隻は中国・杭州の西湖(せいこ)。左隻は中国・鎮江市郊外にある金山寺(きんざんじ)。ともに著名な景勝地であり、古くから中国画人がよく画題として選んでいる。
とくに西湖図は、中国を象徴する図像として、日本でも多数の作品が描かれた。その源泉には、輸入された明時代の版本の挿図や、室町時代に入明した雪舟や秋月が描いたと伝わる西湖図があげられている。
一方、金山寺図は、西湖図ほど多くは描かれていないが、雪舟がのこした図様等を参考に、描きはじめられたと考えられる。なかでも、雪舟の流れをくむ雲谷派(うんこくは)では、西湖図と対で描かれることが多い。
加納雨蓬 《竹石図屏風》 1929年 大分県立美術館所蔵 |
帆足杏雨ほか 《扇面貼交屏風》 慶応~明治初年 寄託品 |
白須心華 《墨梅図屏風》 大正期頃 大分県立美術館所蔵 |
右隻から左隻へと、屈曲しながらゆるやかに伸張する老梅。その枝先には満月が外隈(そとぐま)により描かれる。スケールの大きな作品であるが、淡墨を主体に描き出された画面は、余白の効果もあわせ、瀟洒(しょうしゃ)な趣を呈している。