2020年07月19日
いろいろな色の物語 大分県から絵の具をつくる 顔料

絵の具の元「顔料」は、そのほとんどが石を砕いて作られる。例えば群青は「アズライト/藍銅鉱」、緑青は「マラカイト/孔雀石」、黄色は「オーピメント/石黄」、赤は「ヘマタイト/赤鉄鉱/ベンガラ」や「シナバー/辰砂」などの鉱物だ。
では身近な土や石も絵の具のもと「顔料」になるのだろうか。もちろん、なる。
大分県は山へ、河へ、海へ行くと、多種多様な石を拾うことができる。その石から顔料をつくる。








では、実際に身近な石から顔料を作るためには、どのような工程が必要か。そんなに難しいことはなく、道具と時間、そして多少の根性があれば、誰にでもできる。
また石は砕けば砕くほど、色が薄く・明るくなる性質がある。


それでは実際に作業工程を見てみよう。
まずは必要な道具(金槌、金床、ビニール袋、乳鉢、茶こし、紗膜、刺繍枠)と、顔料にする石を用意する。

① はじめに石を、金槌で叩き、小さく砕く。
金床があれば、より早く砕ける。
この時、小さな破片が飛び散るので、できればビニール袋の中でやりたい。

② 茶こしを篩として利用する。
茶こしを通過した粒は乳鉢へ、通らなかった荒い粒は、再び金槌で砕く。

③ 乳鉢でひたすらすり潰す。
この時、速く手を動かせば動かすほど、細かくなるのも早い。

④ 刺繍枠に紗膜#300を張る。
細かくなった粉を紗膜にのせ、ゆっくり指のはらで円を描くようにしてこする。
紗膜を通過すると、パウダー状の顔料が完成する。


この顔料に、接着剤/糊を混ぜれば絵の具になる。この接着剤を専門的には<展色材(てんしょくざい)>という。
* 展色剤という漢字をあてる場合もあるが、ここでは絵の具の材料の意味合いが強いので、<材>の字を使う。
一般的には<展色材>に、膠(にかわ)を使うと「日本画」、卵を使うと「テンペラ画」、アラビアゴムを使うと「水彩画」、乾性油(リンシードオイルなど)を使うと油彩画になる。続く。
* 膠(にかわ):天然の接着剤。動物の骨や皮を煮出して抽出する。
主成分はコラーゲンというタンパク質の一種。
膠を生成した「ゼラチン」は食用になる。