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コレクション展Ⅳ:心のイメージ

美術家たちは自らの心の中で作り出したイメージを様々な手法で表現しています。江戸時代の南画家たちは、見ることのできない中国の仙境を心の中でイメージを膨らませながら描き出しました。近代に入ると眼に見える世界を超越した心の内面を表現しようとする美術家たちがあらわれます。日本画家・髙山辰雄は、自然と人間とのつながりや、生命の不思議に思いをめぐらせ、その思念の先に紡ぎ出した象徴的なイメージを通じて独自の画境を切り拓きました。洋画家・糸園和三郎は、シュルレアリスムを創作の起点として、静謐な心象風景の中に、現代に生きる人々の不安や孤独を詩情豊かに描き出しました。
本展は「生誕120 周年 サルバドール・ダリ」展の開催にあわせて、大分県立美術館のコレクションより人間の心の内面を写し出した作品を紹介します。

髙山辰雄《母》1970年

髙山辰雄《母》1970年

みどころ1
生命誕生の神秘


こわばった姿勢でじっと一点を見つめる母親と羊水に包また嬰児。画面上方の白い帯は、子供が生まれる前の無限の時間を表しているといいます。生命誕生の神秘を象徴するかのようなこの作品には、髙山辰雄の「生」に対する希望と不安が母の想いとして写し出されているようです。

糸園和三郎《鳥と青年》1959年

糸園和三郎《鳥と青年》1959年

みどころ2
生と死を見つめて


糸園和三郎は子どもの頃に骨髄炎を患って以来、常に病気と隣り合わせの人生を歩みました。本作品は48歳の時に生死を分ける大病を患った直後に制作された作品です。飛び立つ鳥を見上げる青年の姿には、絶望的な状況の中で、生と死を見つめる画家の心境が映し出されているようです。

田口壮《季節の停止》1938年

田口壮《季節の停止》1938年

みどころ3
日本画のシュルレアリスム


手前のテーブルには様々な種類の蛾と昆虫標本を作製するための用具が並べられ、奥には一組の男女が横たわっています。なんとも不可思議な光景を軽やかな明るい色彩で描き出した本作品は、田口壮が新しい日本画の創造を目指して仲間とともに立ち上げた歴程美術協会の第1回展の出品作。シュルレアリスムをいち早く日本画に取り入れた意欲作です。

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